新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心から歓迎いたします。
本校は1901年に設立されました。早稲田の地で100年にわたり多くの人材を育てた後、2001年に国分寺に移転し、翌2002年に男女共学化、初等部開設という大変革を遂げ、今日に至っています。
私立の学校には建学の精神があります。何を目指して学んでいくのか、どのような学びの場でありたいのかが、それぞれの学校で異なります。本校の場合は校是校訓がそれにあたります。在校生の皆さん、そして初等部から中等部に進学した皆さん、中等部から高等部に進学した皆さんはもちろんよく知っていますよね。校是は「去華就実」、校訓は「三敬主義」です。この春から本校のメンバーとして新たに加わる新入生の皆さんも一度は目にしたことがあると思います。
外面的、表面的な華やかさを求めるのではなく、内面、実質そのものを大切にすること。これが「去華就実」です。「三敬主義」とは「他を敬し、己を敬し、事物を敬す」です。
世の中には様々な人がいます。自分とは異なった環境で生まれ育ち、異なる経験をしてきたのですから、考え方や感じ方が違っていて当たり前です。急いで結論を出したい人、ゆっくり考えたい人。にぎやかなのが好きな人、静かなのが好きな人。本当に様々な人に囲まれて私たちは生きています。そういった自分とは異なる人に敬意を払い、共に理解し、共に歩んでいこうとする姿勢。これが「他を敬し」です。 人には優れている点もあれば劣っている点もある。他人と違うのは当たり前なので、他人と比べて傲慢になったり卑下したりしない。長所短所を含め自分自身のことをまるごとそのまま受け入れる。その上で、どう成長していくか真剣に考え、実践する。これが「己を敬し」です。 私たちは学校でも社会でも日々いろいろな事に取り組んでいます。難しそうな課題や仕事、楽そうな課題や仕事、大きな役割、小さな役割。どんな事もないがしろにせず、真摯に向き合う。課題、仕事、役割を行うには様々な物を使うことになります。どんな物もないがしろにせず、丁寧に扱う。これが「事物を敬す」です。
「去華就実」と「三敬主義」は本校が変わることなく最も大切にしてきたものです。本校は、この校是校訓に共鳴した人たちが集い、切磋琢磨してともに成長していく学びの場でありつづけたいと考えています。 新たな学びが始まるこの時に、校是校訓に込められた私たちが目指そうとしている学びのあり方、人のあり方について、あらためて確認しておきたいと思います。
4月から始まる新たな学びを通して、皆さん一人一人がしっかりと成長してくれることを祈っています。
原載:『早実通信』210号(2022年4月)