「早実通信」は今号から新しい形になりました。これまでより随分と見やすくなったのではないでしょうか。新しい「早実通信」に変えようと努力して下さった皆さんに感謝いたします。
どんなものも変化せずに存在し続けることはできません。一人の人間を例にとっても、人は生まれてから死ぬまで毎日少しずつ成長し、変わっていきます。家族もそうですよね。全く変化せずに何年も何十年もありつづけることはできません。私は3年前の「早実通信」に私の家、家族のことをこんな風に記しました。
私の家は東京の郊外にある2階建ての家です。家には私と妻と子供2人、子供といっても2人とももう社会人ですが。あと犬が1匹と猫が3匹住んでいます。家という建物と、人間4人とその他4匹のあわせて8つの生き物で「家族」が成り立っています。人間が4人もいれば喧嘩もしますし、4人が時と場合によって3対1になったり2対2になったりします。猫たちも同じです。犬と猫と人間のあいだでも同じです。人間と犬猫あわせて8つの生き物が社会を作り、毎日毎日違った関係を形づくっています。
あれから3年、相変わらず東京郊外にある2階建ての家に住んでいます。3年の間に子供が一人巣立っていきましたので人間は3人になりました。猫2匹を見送り、新たに猫1匹、犬1匹を迎えました。今は人間3人と犬2匹、猫2匹のあわせて7つの生き物で家族を構成しています。家そのものの外観は全く変わっていませんが、家の中は大きく変化しました。それぞれが主に使う部屋も変わりましたし、何よりそれぞれの関係性が変わりました。
学校も同じです。常に変化し続けていますし、節目に応じて大きく変化する時期もあります。本校にとっては創立100周年である2001年の国分寺移転、翌年の男女共学化、初等部開設が節目としての大変革でした。あれから20年がたちました。外から観た早稲田実業はこの20年間ほとんど変わりませんが、中身は毎年少しずつ変わってきています。しかし、社会や教育を取り巻く環境は、毎年の少しずつの変化では対応しきれないほど、この20年で大きく変わりました。節目としての変革が求められる時期になりました。
本校は2026年に創立125周年を迎えます。早稲田大学では125年を最も大きな節目としています。これは大隈重信先生が人生125歳説を支持していたことによるものです。ちなみに大隈講堂は125尺の高さです。本校では、今年から始まる5年間を新たな早実に生まれ変わっていく変革の時と位置付けています。
現在本校では、早稲田での100年間、国分寺での20年間の経験をしっかり振り返った上で、教育のあり方の抜本的な見直しを行っています。初中高大連携教育の推進、探究型の学びへの転換、これまで以上のきめ細かい教育の実現など、新しい時代に求められる教育を実現していくために行うものです。その一環として、中等部・高等部においてクラス数、クラスサイズ及び1学年の生徒数を削減することにしました。具体的には中等部は1クラス36名になります。高等部は1学年9クラスのところを8クラスに減らし、また1クラス45名のところを4年かけて40名程度に減らしていきます。カリキュラムも大幅な改定を行いますし、部活動、同好会活動、委員会活動についても見直しを行います。
大きな変化は痛みも伴います。数年かけての改革ですので予期せぬトラブルも生じるかもしれません。この時期を共に歩むこととなる生徒の皆さんには迷惑をかけることもあるかと思いますが、自分たちは新たな早実に生まれ変わっていく瞬間に立ち会っているのだと積極的に関わっていただければと思います。よろしくお願いします。
原載:『早実通信』207号(2021年7月)